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ある歌人の死

以下は、朝日新聞の「家族」というシリーズから転載(抄)

福島県郡山市のJR駅前から続く繁華街の路地を入った3階建てのビル。その1階と2階に「珈琲の樹」はあった。
れんが造りの壁にステンドグラスの窓。朝7時から夜8時まで、常連客を中心ににぎわっていた喫茶店を切り盛りしていたのは、阿部壮作さんと光さん夫婦だった。
両手でも抱えきれないほど大きな焙煎機でひたすら豆をいり、そして挽いた壮作さんは、日々のくらしを切り取って朝日歌壇に投稿。その歌は、週に3千も届く作品の中から40首しか選ばれない歌壇に、年に20首前後も載り続けた。

       小春日や窓辺に珈琲煎りており神がくれしと思える香り  (95年12月)
       天職の思いを抱きて手づくりの珈琲一筋に三十八年経つ  (00年02月)

だが、05年8月29日付朝刊での掲載を最後に投稿は途絶えた。
1ヶ月後、選者の一人である佐佐木幸綱さんが歌壇の「評」に記した。「第十首、本歌壇、古くからの常連・阿部壮作氏の生還を祈る作。8月31日付の朝日新聞福島版に同氏の名をあげて『吾妻連峰登山の男性が遭難か』の記事が出た。その後まだ生還の報はない」
歌壇には、壮作さんの身を案じる投稿が続いた。

       「夏山でつくりし短歌はまだですか」阿部壮作氏還らぬ君よ (05年10月、横浜市・滝 妙子さん)
       生業のコーヒーの香を身にまとい北の花野に消えし歌人   (06年10月、北九州市・原田杢子さん)

05年8月29日午前7時、壮作さんは、いつものように登山口まで送り届けたタクシー運転手奥村信一さん(60)に語りかけながら車を降りた。
「母ちゃんに心配かけっから、これで山はおしまいにするんだ」。10年になる付き合いでも笑顔をほとんど見せたことがなく、降りれば、いつも前だけを見てずんずん登っていった壮作さんがなぜかなぜか振り返り、にこやかに笑ったとういう。
5作目となる歌集に載せる写真を撮りためていた壮作さんがこの朝、妻の光さんに残した言葉は「あと1枚、足りないんだ」だった。
(以下略)

毎週日曜日に掲載される「家族」面白く読んでいるが、今回(12月9日付)の「途絶えた投稿」はいつもとはちがって身につまされた。
阿部壮作さんの歌が新聞に載らなくなって、すでに2年あまりになる。東京などへの行き帰りの際、車窓から安達太良の山が見えると、きまって阿部さんのことを思い浮かべる。
阿部さんの遺体が発見さ(今年5月20日)れたことは知らなかった。この記事ではじめて知った(あぁ、やっぱり遭難死だったんだなぁ)。


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上の画像(3枚)は10日に撮った。里山の頂上付近が白くなっているが、日が照ると間もなくとけてしまい、小春日和となり、12日まで降雪がなかった。

今朝は、また雪が舞っている。ここしばらくは雪の日になるもよう
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  1. 2007/12/13(木) 07:16:59|
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